【WEB広告あるある】レポートの数値とGA4での数値の乖離について

広告配信レポートとGA4のアクセス数に乖離が生じる理由とは?
デジタルマーケティングにおいて、広告の効果を測定するために欠かせないのが「クリック数」と「アクセス数」です。広告プラットフォームでのクリック数が報告され、Google Analytics 4(GA4)でのアクセス数を確認する。
ところが、これらのデータに乖離が生じることがしばしばあります。
広告配信レポートとGA4のアクセス数に乖離があると、広告効果やサイトのパフォーマンスを正確に評価することが難しくなり、戦略を見直す際に混乱を招くことも少なくありません。
では、なぜこのような乖離が発生するのでしょうか?今回は、よく見られる原因とその対策について掘り下げてみましょう。
よくある事象:クリック数とアクセス数の乖離
クリック数は高いが、GA4のアクセス数が低い
広告配信レポートでは、クリック数が高いのに、GA4で確認すると実際のアクセス数が思ったよりも少ないという状況。
これは非常によくある一般的な事象です。
GA4以外のアクセス解析ツールとも数値が合わない
有料のアクセス解析ツールを導入したが、広告配信レポートともGA4とも合わない。
どの数値が正しいのか判断ができず困る。
なぜこうした乖離が発生するのでしょうか?
乖離の原因と対策
① トラッキングの設定ミス
広告プラットフォーム(例:Google広告)でクリックがカウントされても、GA4でのトラッキング設定に問題があると、アクセス数が正確に記録されないことがあります。
たとえば、リダイレクト設定やUTMパラメータが正しく設定されていなければ、広告からの流入がGA4で正しく識別されません。
▼対策
広告リンクにUTMパラメータを正しく設定しましょう。UTMパラメータの設定を統一し、正しく適用されているか定期的にチェック。
LPでリダイレクトが発生する場合、リダイレクト後のURLにも適切なUTMを保持することを心がけましょう。
自動タグ付け(Auto-tagging)と手動UTMの設定を統一し、トラッキングの整合性を保つことも重要です。
また、初歩的な確認事項ですがGA4のトラッキングコードが全ページに適切に設置されているかも再確認しておきましょう。
② クリックとアクセスのタイミング差
広告クリック後、実際にページが読み込まれるまでに時間差が生じることがあります。
ネットワークの問題やページの読み込み速度が遅いため、広告がクリックされたにもかかわらず、GA4でセッションとして記録されないケースです。
例えば、ユーザーが広告を誤クリックしてしまい、ページが完全に読み込まれる前に離脱した場合、広告プラットフォームではクリックがカウントされますが、GA4には計測されません。
広告のクリック数は、ユーザーが広告をクリックした回数をカウントしていますが、GA4のアクセス数(セッション数)はページの実際の読み込み回数を計測しています。
そのため、ユーザーが広告をクリックした後にページを完全に読み込まずに離脱した場合、そのクリックはカウントされても、GA4のセッションには反映されないことがあります。
クリック数:ユーザーが広告をクリックした回数
セッション数:GA4がトラッキングできた訪問回数
▼対策
ページの読み込み速度を最適化し、広告からの流入がスムーズに計測されるようにしましょう。
広告クリックから遷移先ページ表示の秒数が短ければ短いほど、ページ側での計測が進み乖離が少なくなります。
Googleが提供しているPageSpeed Insights などで簡単にチェックすることが可能です。
誤クリックを誘発するようなサイトへの配信を止める事も有効な手段ですが、配信面を制御できるかは広告配信プラットフォームの仕様により異なります。
画面いっぱいに広告が表示される仕様や、ページ表示速度よりも遅く広告部分が表示され、意図せずクリックしてしまう仕様の広告も存在しますので、可能であれば配信先から除外することが有効です。
また、一般的にアプリ面の広告はページ遷移時に離脱する可能性が高いとされており、広告の目的がサイトへの誘導であればWEB面に絞ると改善されるでしょう。アプリ面は認知目的のキャンペーンには非常に有効なため、目的に応じた配信先を選定しましょう。
広告主はこのGA4と広告プラットフォームのデータの違いを理解し、クリックとセッションが別の指標であることを前提に分析を行うようにしましょう。
③ ボットトラフィックや不正クリックの影響
広告プラットフォームによっては、クリック数にボットが含まれていることがあります。
GA4ではボットトラフィックを自動でフィルタリングしていますが、広告配信プラットフォームでは除外されていない場合、クリック数が不正確な場合もあります。
▼対策
GA4や広告プラットフォームでボットフィルタリング設定を有効にして、データの精度を高めるようにしましょう。
不正クリック対策ツールを導入し、広告プラットフォームで無効なトラフィックを減らすことも有効です。
広告プラットフォーム側で不正クリックをある程度検知してフィルタリングした後にレポーティング&請求しているところがほとんどですが、100%除去することは不可能といえます。
広告主側でできる事としては、広告の配信先を見直し、質の高いオーディエンスに向けて最適化すると改善されることもあります。
④ 広告ブロッカーやプライバシー設定の影響
近年、ユーザーのプライバシー保護が強化され、多くのユーザーが広告ブロッカーを利用しています。
また、iOSのITP(Intelligent Tracking Prevention=読:インテリジェント・トラッキング・プリベンション)やGoogle Chromeのトラッキング制限もGA4の計測に影響を与えます。
特に、Facebook広告ではiOS 14以降の影響でコンバージョン計測が制限されています。
▼対策
サーバーサイドタグを導入し、計測の正確性を向上させたり、コンバージョンAPI(CAPI)を活用し、ブラウザに依存しない計測を行うと影響を最小化できます。
残念ながら100%改善することは不可能なため、ファーストパーティデータを活用し、ユーザー行動の補完データを収集するなどしてなるべく乖離を少なくしましょう。
⑤ クロスデバイス・クロスブラウザの影響
ユーザーが広告をクリックした後、異なるデバイスやブラウザからアクセスする場合、GA4ではそれを1つのセッションとしてカウントしません。
広告プラットフォーム側ではクリック数としてカウントされているため、この差が乖離を引き起こすことがあります。
▼対策
GA4ではユーザーのクロスデバイスのトラッキングを有効にし、ユーザーの行動をより正確に把握できるように設定します。
乖離を最小限に抑えるための対策まとめ
(1) トラッキングの設定を見直す
・GA4のタグが正しく動作しているか、Google Tag Manager(GTM)を使ってデバッグする。
・UTMパラメータの設定ミスを防ぐために、すべての広告リンクを正しく設計する。
(2) LPのパフォーマンスを最適化する
・LPの表示速度を改善し、広告クリック後の離脱を防ぐ。
・ファーストビューのUXを最適化し、離脱率を下げる。
(3) 広告の配信先と仕様を見直す
・キャンペーン目的に応じた配信先を選ぶ。
・低品質な広告配信面を制御し誤クリックを防ぐ。
結論:データの乖離を解消するために
広告配信レポートとGA4のアクセス数に乖離があることは、マーケティングにおいてよくある問題です。
しかし、その原因を正しく特定し、対策を講じることで、データの精度を高め、より効果的な広告運用が可能になります。
具体的な原因を理解し、適切な対策を取ることで、広告効果を正確に評価し、改善点を見つけ出すことができます。
つまり「広告クリック数とGA4のセッション数は必ずしも一致しない」ことが前提となり、乖離が発生する理由と一般的な目安(例:10~30%の差は許容範囲)を事前に理解しておくと良いと思います。
計測環境の制約を理解した上で、広告とGA4のデータを組み合わせた総合的な分析を行う事を心がけましょう。
データ分析はマーケティングの成功に欠かせない要素です。
広告配信とサイトのパフォーマンスを正しく計測するために、設定を見直し、トラッキングを最適化することが、より良い結果につながるでしょう。
この記事の執筆者

ソリューションプランニング本部のマネージャー。 デジタル領域全般に精通しており、デジタル経験歴は15年以上。 WEBマーケティング、WEB制作、DX促進、部門の管理を行う。 犬とコーヒーとハイボールをこよなく愛すオトナのオトコ。